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映画で注目された儀式

納棺の儀式が意味するところ

映画「おくりびと」で、一躍、脚光を浴びた納棺という儀式がありました。近しい人が亡くなった場合、私たちはさまざまな儀式をすることで、その死を現実のものとして受け止めていきます。

通夜、葬儀、告別式と続くさまざまな儀式のなかで、納棺は、死の直後に行われる遺体を棺におさめるための最初の儀式となります。納棺師は、故人の旅立ちの衣装を整えて棺に納めます。遺族や近親者は、これを手伝うことで、近しい人の死を少しずつ理解していくのです。

死装束と死化粧

  • 死装束
    • 死装束は、宗派や地域によって異なりますが、一般的には仏式なら経帷子(きょうかたびら)を、神式なら白の小袖を着用します。着物は左前に合わせ、手甲や脚絆を着けて、足袋を履かせます。まさに江戸時代のような旅装束を着せるわけですね。遺族は、この身支度を手伝いながら、近しい人の死と向き合うひと時を過ごします。
  • 死化粧
    • 衣装は遺族が手伝いますが、プロに依頼して湯灌(ゆかん)やメイク、さらにはエンバーミングを行う場合もあります。湯灌(ゆかん)とは、遺体をお湯で清めることです。近年では、病院で亡くなった場合、看護師が遺体をアルコールで清めて髭や爪、髪の毛を整えてくれますが、それ以前は、遺体をお湯で洗浄していたんですね。

エンバーミングについて

体内の血液を抜いて防腐処置を施すことで、ドライアイスなどがなくても長期間保全できるようする処置をエンバーミングと言います。また私が利用したのは、美粧というサービスです。これは、血を抜かずに遺体を保全することができます。

私の父のようにガンで亡くなった方は、たいてい最期には痩細ってしまい、元気だった頃の面影がなくなってしまうのですが、美粧をほどこしてもらったら、目元などが往時を彷彿とさせるように蘇ったので驚きました。父のようなガン患者だけでなく、不慮の事故で亡くなった方にも、この手法は有効だそうです。

もう亡くなった人の体は動きませんが、それでも、少しでも、生きていたときの面影を感じることができれば、それだけで遺族としてはうれしいものです。防腐処置が充分ではなく、亡くなってすぐ火葬にしていた昔は、故人との別れを充分に惜しむ時間がなかったのではないでしょうか?

遺族として、それはつらいことだと思います。

 
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